「んー、いい天気だねー」
ぐいーっと伸びをしながら空を見上げるのは、俺の恋人兼仲間のちゃん。
今はちょうどお昼前なので、他の仲間も本を読んだり話をしたりのんびりしている。
街中ではなく当然魔物も出没するフィールドなので、本当ならば結界でも張っておかなければいけないのだが、ここら辺の魔物は比較的大人しく弱い部類に入るし大丈夫だろう。
結界値段高いし。
ちなみに今日の料理当番は我等が料理番長・ユーリである。
「私ねー、結界の外は空が綺麗に見えるから好きだなー」
ちゃんは座っている俺を見下ろしながら、にへっと笑う。
「そーね。おっさんも好きだわ」
あたりは草木が気持ちよさそうに風の中で泳いでいる。
そよそよとそれが擦れあって出す音は耳あたりがとてもいい。
「きもちいいねー」
「そーねー」
二人で年寄りみたいな感想を述べながら、くすくす笑う。
立ちっぱなしの彼女に、座ったら?と促すといつも通り俺の隣に座ろうとするが、途中でぴたっと動きを止めて、後ろに回りこんだ。
「?」
疑問に思ったが、そのままにしていると背中に柔らかい重みがよりかかる。
「たまにはこーゆーのもいいよね」
なんていいながら、笑っているであろう君の顔を思い浮かべて「そうね」と一言そういった。
背中から服越しに伝わる、じんわりとした体温と重みが気持ちいい。
幸せだと胸の奥がうずうずして、なんだかくすぐったい気もして笑みがこぼれる。
ああもう、この幸せをどうしたらいいんだ。
俺なんかにはでか過ぎて持ちきれない。
どうか、神様。俺のお願いを聞いてくれ。
「きもちいいわねー」
「そうだねー」
頬を撫でる風と、君の体温が、ますます大好きになった。
背中合わせの唄を歌うから。
(あいつら、年寄りみたいだな)
(そう?私はああいうの好きだけど)
(素敵ですね)
(あれ?ユーリご飯のしたくは?)
(あ。)
(・・・馬鹿っぽい)
(わふ)